花が運ぶ風
「え、あ、ごめんね!
今辛いの京くんなのに私なんかが泣いちゃってっ…」
急いで涙を手の甲で拭った。
「いや、嬉しい」
「…え?」
「俺のために泣いてくれる人とかいないと思ってた…から」
「………」
「やっぱ嬉しいのなっ!」
そう言って笑った京くんの笑顔は
私が知ってる京くんの中で
一番楽しそうに笑った顔。
私も一緒に笑顔になった。
「花…俺達の間で隠し事はやめような」
「京くんが隠し事してたくせにっ!」
「これからってことだよ。絶対しない。
だから花も俺に隠し事無しな?」
「うん。約束する」
「約束…」
私はなんとなく目を閉じた。
夜空に瞬く星の中に
京くんのお母さんがいるのなら
何故かとても
お話したいなって思ったんだ。