花が運ぶ風
「ねぇ、京くん」
「ん?」
「京くんは殺してなんかないよ」
「…え?」
「お母さんは殺されてなんかない」
「うん」
「お母さんは京くんを守ったんだよ」
「…うん」
「大好きな京くんを自分の命に換えても守りたかったの」
「………」
「なのに殺されたなんか思ったりしたらお母さん怒っちゃうよ?」
「っ………」
「京くんは自分を責めちゃいけない
お母さんとの思い出を忘れて逃げ続けるのもいけない」
「あぁ…」
「ちゃんとお母さんの死に向き合って
お母さんに伝えるのっ……」
「っ…」
「あり、がとうってっ……
守ってくれてありがとうって…」
「ん……」
「京くんは一人じゃない
私がいる、一緒にいるからっ…!」
京くんのその今の気持ちが薄れないうちに
お母さんにありがとうって伝えてほしい