インテリと春

「さーて俺は戻るかな」

「はあ!?あたしが来た途端に逃げる訳?!ヒドイよすげー傷付いた」

「そういう訳じゃねえって。今日はこれから5限目に授業入ってるからよ、その準備」

「嘘が下手だねあんた」

「コラ中川、先生を嘘吐き呼ばわりするのはよくありません」

「あたし信じてるよー」

「そりゃどうも吉野。んで?お前等はまた午後の授業をすっぽかすと?」

視聴覚室の扉に手を掛け去り際に訊ねてきた安田へ「失敬な」と力強く答えたのはアケミ。本日四つ目となるウインナーを口に頬張りながらさらに続ける。

「すっぽかすんじゃありません。帰るんです」

「何が違うってんだクソ餓鬼共」

「また明日ね~安田~」

「あれ?シカト?まあ帰るのは勝手だが、吉野お前今月のレポートはもっと早く提出しろよーって浅井先生が言ってた」

「くたばれ浅井。そんじゃあね~安田大好き~」

そういうことは大声に出さんでいい。と呆れたような捨て台詞を残して、安田は出て行った。

「んじゃ帰るか。購買寄りながら」

「あいよー」
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