インテリと春
弁当を食べ終えたアケミと共に視聴覚室を出て購買へと向かう。久々な快晴の空を窓の外に眺めながら階段を下り、購買で買った物はクラッシュゼリーと栄養補助食品。加えて何故かアケミもどデカいメロンパンを購入していたことには、あえて口を出さなかった。
「それにしても、今日は天気が良いねえ」
「お天道様拝んだのも何十年ぶりじゃね?」
「それは無えだろ」
「分かってるって」
彼女が向かう駅の方向と、あたしが一人暮らしをしているアパートへの方向は、途中まで重なっている。今の時刻はまだ午後の2時前。ということで、アケミはあたしのアパートで少々暇潰しをしてから帰るという話になった。
それまでの道中は、クラッシュゼリーを啜るあたしとメロンパンを頬張るアケミとのくだらない会話で十二分に埋め尽くされていく。いつもいつもそうなのだ。アパートへの道程は少なくとも歩いて15分はかかる筈なのに、辿り着くと熱湯3分のカップラーメンさえ出来ていない程の時間しか歩いていないような。そんな気がしてしまう。
「毎度毎度お邪魔しまーす」
「アケ、さっき食ってたパンの空袋は?捨てるからよこして」
手渡された空袋とクラッシュゼリーのゴミを捨てる為にあたしはキッチンへ。一方のアケミは我先にとリビングへ上がっていく。それも仕方ない。彼女がここで寝泊まりした回数など到底数え切れないし、最早半分彼女の住まいと言っても過言ではないのだ。