インテリと春

「うーす安田」

「お前どこに居やがったこのクソ餓鬼」

「あー保健室。アケミと寝てた」

予想外にも安田はご立腹の御様子で。何があったのかと思えば、またもやウチの担任浅井に叱責を食らったらしい。その原因は、勿論あたしにあった。

先日の三者面談の件も然り、あたしとアケミの生活態度も然り。最近は手に負えない程酷くなってきて、それはあなたがこの高校へやって来てから特になんですよ!と、独身38歳の男性教師に若手26歳の新米講師は怒鳴られたのだそうな。

「なんで副担でもねえのに、講師の俺が怒られなきゃなんねーんだよ」

「酷い話っすねー」

「おいコラ、笑い話じゃねえんだぞ」

「あたしも世間話をしに来たんじゃないんで。レポート作んのに資料が必要でさ、それを、」

「いい加減にしやがれ!」

聞いたこともない安田の怒声に思わず怯む。とてもじゃないが、毎度の憎まれ口も反抗的な態度も、振りかざすことが出来そうにない。それは本気で安田が怒っているから。怒鳴りつけてくる相手が、他の誰でもない安田だから。
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