青空〜aosora〜
神社の参道を抜ければ

駅まではもうすぐ。

そこで。

俺は、たぶん。

このタイミングでは

見てはいけないものを

見つけてはいけないものを

視界に入れてしまった。

『ごめん、キョウコ』

俺はキョウコの方を見ずに言う。

『どうしたの?』

急な俺の謝罪の言葉に

その理由を聞こうとキョウコは

顔を覗き込むように聞く。

俺は、敢えて目を合わさずに答えた。

『ごめん、本当にごめん。

 何も聞かないで。

 俺。行かなきゃだから。

 こっから、一人で帰って』

今日、たぶん初めて。

心からの言葉だった。
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