青空〜aosora〜
『タカダ先輩にね。

 振られ、ちゃった』

笑顔で話すユキさんは

凄く淋しそうだった。

『なんで…』

俺が聞く事なんかじゃない

そんな事、分かってる。

ユキさんはアヤミじゃない。

そんな事、分かってる。

俺が入れる問題じゃない。

そんな事、分かってる。

でも、その時俺は

聞かずにはいられなかったんだ。

『なんか、ね。

 大学入って。

 大学で、好きな人、が。

 できたって…』

涙を流しながら話すユキさん。

最期の方は嗚咽が混じり

もう、言葉になっていない。

泣き崩れそうなユキさん。

俺は、思わず。




ユキさんを抱き締めていた。
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