青空〜aosora〜
手を繋いで、学校の中を歩く。

たった、それだけのことなのに。

それは、なんだか。

とても特別な事のように感じた。

いつもと同じ景色が、違う色に見える。

そんな景色の中に

知ってる、顔が。

キョウコ――。

ユキさんに手をひかれ

俺は。

キョウコの横を黙って通り過ぎた。

背中に、キョウコの視線を感じる。

何も言えない。

あの日、キョウコの手を離した俺に

もう1回振り向くなんて

そんなことは出来なかったから。
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