青空〜aosora〜
平日の中庭は、

一昨日のライブイベントが嘘のように

誰もいない、静かな空間になっていた。

そこにあるベンチに腰かけて

ユキさんを待っていた。

『ユウ』

俺を呼ぶユキさんの声に気付き

振り向くと。

そこには今にも泣きだしそうな

ユキさんの姿があった。

『ユキさん…』

何か話さなきゃ。

何を?

分からないけど、

何も話さずにこのままでは

きっといけないんだ。

『ユキさん、昨日。

 どうしたの?』

それ以外に、何も言えなかった。

俺がそう言うと、ユキさんは。

今にも泣きだしそうな顔をして

こう言ったんだ。

『その答えにもなると思うから

 あたしの質問に答えて』

俺は、頷きもせずただ

ただユキさんを見つめていた。

『アヤミさん、って誰?』
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