青空〜aosora〜
『あたしは…』

ようやく口を開くミキ。

俺は、その言葉に集中する。

言葉の続かないミキを促す。

『なに?

 ミキは?』

そう俺が言うと、

ミキはゆっくりと、

そう、ゆっくりと。

話し始めたんだ。

『あたしはユウの事。

 ユウの事、好きだから。

 なのにユウ全然気付かないし。

 ユウとアヤミ付き合うって言うから

 コウタと付き合ったのだって

 あたしがいまバンドやってるのだって

 ユキさんにアヤミの事話したのだって

 全部、

 全部ユウが好きだからだよ』

そう言うミキの声は

涙を流しているのが

電話の向こうからでも伝わる

そんな声だった。
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