青空〜aosora〜
去年と変わらずその空き地に人影は少なく

草むらの向こうで花火が上がるのが見える。

木々を風が揺らす音が

花火の上がる音の合間に時折聞こえる。

去年、中尾に誘われて。

キョウコに教えてもらった場所に。

こうして、ユキといるなんて

去年の俺は想像もしていなかった。

花火は去年よりもキレイに見えた。

見てる俺の気持ち次第なのかも知れない、

そんな事を思いながら

次々と上がる花火に

ただ、ただ見とれていた。

『キレイ』

とだけ呟くユキの声に気付き

ユキの方を見ると、

ユキの頬に夜空に上がる花火の光が反射して

ユキがいつもよりキレイに見えた。



この瞬間が永遠に続けばいい



そんな安っぽい感情しか

生まれて来なかった。
< 236 / 264 >

この作品をシェア

pagetop