青空〜aosora〜
『ありがと』

少し照れたようにそう言うユキは

浴衣姿には不釣り合いな

そのシルバーのリングをはめて

嬉しそうに微笑んだ。

『なんだか、今。

 あたし、幸せだよ』

ユキが幸せって言ってくれる。

それは俺にとって

「幸せ」以外のなにものでもない。

『ユキが喜んでくれて嬉しい。

 それで俺は幸せだから』

俺はそう言って

指輪をはめた掌を空にかざしたユキを

その場で強く抱き締めた。

そして、星の数程のキスをした。

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