青空〜aosora〜
俺は笑顔で応え、

『これからバンド出るから見てってね』

なんて、そんな声をかける。

名前を知らないコに声を掛けられるのも慣れた。

1年生に向けた笑顔を正面に向け直すと

中庭のステージはすぐそこ。

去年同様、リハ参加ナシで、舞台横の

申し訳程度に設けられた準備スペースに滑り込む。

『お、ダンチョー間に合ったやん』

最初に声をかけてきたのはヤス。

ヤスの声に気付きマサキも顔を上げる。

『見てたよ、あんなん。

 ダンチョー先輩、なんて

 ユキさんに見られたらどーすんだよ?』

マサキが後輩に笑顔を返した俺を責める。

『大丈夫だって。

 あのコ達も俺に彼女いる事知ってるし。

 騒ぎたいだけでしょ』

ユキの名前出されても

平然とそう答えていた。
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