青空〜aosora〜
ライブが終わり

文化祭は終わりに向かって加速していく。

楽しいと思える時間は

なんでこんなに流れるのが早いんだろう。

その理由なんて分からないけれど

短い時間であっても俺は

ユキと一緒に過ごしたいと思い

バンドの演奏が終わるとステージを駆け下り

観客席のユキの元に走り寄った。

『ユキ、行こう』

どこに、でもないけれど。

今はただ2人で過ごす時間が欲しかった。

『え!?』

手を繋ぐ、いや掴んだという方が正しいかも知れない。

まぁ、その手を掴んだ俺にユキは驚きの表情を見せる。

『マイさん、ごめん。

 ユキ、ちょっと借ります』

俺は戸惑うユキをそのままに

今まで一緒に文化祭回ってたであろうマイさんに

ユキを連れ出す事を謝った。

『うん、じゃあ』

そう言うとマイさんは別の友達を見つけ

視界の端の方でもう楽しそうに話している。

『ユキ、行こう』

俺はもう1回同じ事を言った。
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