青空〜aosora〜
『あ、そだね。

 もうこんな時間だし』

こんな時間、か。

時計の針は、夕方5時。

秋の夕暮れは早く、空は早々と薄暗くなっている。

だけど、いわゆる優等生ではなかった俺は、

まだまだ遊びたい時間。

相手のことを思いやる、

そんな余裕はまだ持ててなかった。

カバンに荷物を詰め、俺達は教室から出る。

公園までの、10分弱の帰り道。

アヤミの家まで送って行きたいけど、

アヤミの父親にこんな金髪で会えるわけない。

公園までの道のりはすぐだった。

『あ、そうだ』

公園につくと、アヤミが思い出したように言う。

『日曜。楽しみだね』

俺は呆気にとられてしまった。

あ、そうだ。から続く言葉、それ?

ぽかん、としてる俺。

気付くと。



気付くと、俺の唇にあたたかいものが触れていた。

え!?

それは、アヤミの唇で。


俺のファーストキス。

アヤミとのファーストキスは

不意打ちで、びっくりしたこと以外

あまり覚えていない。

< 35 / 264 >

この作品をシェア

pagetop