ｸﾚﾏﾁｽ

『私に始めて手を出したのは自分なのにねアハハははははハハハハァ！！この人はその現実を受け入れられなかった！一番汚したくない『少女』という存在を汚した自分自身を！そして緑山キヨというもう一人の私を作り出して、まるで何も知らないかのように振る舞っていたの！あの一度が随分怖かったんでしょうねぇ！私が手を出そうとしたら出刃で首切られちゃったわ！でも大丈夫！薄皮切られる前に右手を落としてやったから！』
『キヨ…キヨ…』
塚原は驚いた。とっくに事切れていると思った画伯の口が動いたのだ。
『悪かっ…た…最期の我が儘だ…聞いてくれ…元に戻ってくれ…キヨ…！』
『ああアその名を呼ぶなあアあァあ!!』
ナタはあまりにも簡単に画伯の首をはねた。
歌子はナタを床に投げ捨て、頭を抱えて奇声をあげている。
濁った彼女の目に、一瞬、明るい光が宿った。
『先生…！』
ナタをもう一度握った彼女は、首の傷跡に沿って、自らの首を勢いよくはねた。