たんぽぽ
 しかし、意外にもすんなりと返事は来た。

 ふと、携帯電話の液晶画面をのぞくと、それはメール受信中を知らせていた。

 僕は、ドキッとした。

 春華だろうか?きっと春華だろう。

 携帯電話が僕の手の中で震えた。僕は、唾をごくりと飲んで、受信ボックスを開く。

 そこには今日登録したばかりの見慣れないメールアドレスがあり、今井春華と表示されていた。

 春華だ。ちゃんと返してくれた。

 僕は嬉しさもあったが、それよりもまず、安心した。

 急いでメールを開く。

「うん、なんかいろいろあったしね(^^;)」

 それは短いメールだったが、まるで普段から話しているような感じだった。おかげで僕は特に悩むことなくメールを返せた。

「あっそういえば、ごめんね▼竹本を使っていろいろ聞いてしまいました☆」

「いや、全然☆きっかけできてよかった◎」

「ほんとに?俺もよかった♪」

「嘘ついても意味ないじゃん(笑)」

「はは(笑)そらそう♪ってか竹本といつそんな話してたの?」

「終業式の最中!高嶺の後ろ姿を見ながらしてた(笑)」

「エッそうなんだ☆急にごめんね(^^;)」

「全然いいってば(^^)気にしない気にしない☆」

「あっはい♪ちゃんと勉強してる?」

「全然してない▼マンガばっか見てる(笑)高嶺は?」

「俺も全然してないわ▼家じゃ勉強できなくない?」

「うん、誘惑多すぎ!テレビ・マンガ・冷蔵庫・ベッド…。」

「冷蔵庫?それはおかしくない?笑」

「勉強はストレスがたまるから甘いもの食べたくなるの(笑)」

 僕達は本当にずいぶんと昔からそうであったかのように、自然にメールをしていた。
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