たんぽぽ
 僕も春華もメールは短文タイプらしくポンポンとメールを交換した。

 たまに、メールに驚くほど長い文を打つ人がいるが、僕はそれが苦手だった。どんなに長いメールを送られてきても、僕は基本的にメールをするのがめんどくさかったので短文しか返せなかった。

 それが相手の気を悪くしてしまうようで、僕はメールにも気を遣わなくてはならなかった。

 その点、春華のように短文で会話のようにメールをする方が僕は好きだった。

 普段ならそれもめんどくさかったが、相手が春華なら別の話だった。

 メールが来たら、すぐに返し、次のメールが来るのが待ち遠しかった。

 主に受験の話をした。

 この前の定期テストの点数の言い合いっこをしてみたり、自分達の将来についても話したりもした。

 僕は研究員、春華は看護師を目指していた。

 僕はそれを聞いて少し不思議に思った。

 僕の友達で看護師志望だった子はみんな文系だったからである。しかし、僕達のクラスは理系クラス。

 春華によると、春華が志望する大学の看護学科はセンター試験重視で、あとは小論文で決まるらしく、そのセンター試験の科目は選ぶことができる。

 そこで、春華は文系科目よりも理系科目の方が得意だから理系のクラスにきたらしい。

 その偶然が僕と春華をもう一度同じクラスに引き合わせたのか。もし春華が文系科目の方が得意だったらこんな風にメールはできなかったのかもしれない。

 僕はふと一人でそんなことを考えていた。
< 65 / 70 >

この作品をシェア

pagetop