たんぽぽ
 年が明けた2000年の2月、僕達は付き合うことになる。

 それは、突然の僕の告白から始まった付き合いだった。

 ある日、僕は数人の友達とリボン館にいた。はじめは、それぞれ本棚のマンガを読みあさっていたのだが、そのうち飽きてきた僕達はこたつでトランプをし始めた。そして、その中の一人の英男がありがちな提案をした。

「ただトランプしてもおもしろくなくねぇ?罰ゲームをつけようぜ」と。

 僕はあまり乗り気ではなかったが、他の友達のノリと、負けはしないだろうという根拠のない自信で、その提案に乗ってしまった。

 最初の罰ゲームは、今一番気になる女の子をみんなに話すというものだった。そして、その一番初めの犠牲者がまさかの僕。全く予期していなかった展開に僕はあ然となった。密かに春華のことが気になっていることを僕は誰にも言いたくなかったが、みんな誰にも言わないという約束をしてくれたので渋々白状した。

 その後、犠牲者はどんどん増えた。初めは乗り気でなかったものの、いざやってみるとそうだったのかという驚きもあり、楽しかった。

 そうして、テンションが上がりすぎてしまった僕はどうやら物事の判断ができなくなっていたらしく、最大の過ちを犯す。知らない間に話は、負けた人が今言った気になる女の子に告白するという風になっていた。おそらく調子に乗りやすい英男の提案であろう。

 …………。

 正気に戻ったのは僕が春華に告白することになった後だった。調子に乗りやすいのは英男だけではなく僕もだったようである。

 調子に乗るんじゃなかった。

 さっきまでの愚かな自分を責めた。春華のことが気になっているということも言いたくなかった僕が、まさか告白なんてできるはずがない。春華とは、そこそこ話せるようにはなっていたが告白するほどは親しくはなかったし、僕自身もまだ気になる程度で本当に好きかどうかなんてわからなかった。そして、その前にフラれて気まずくなるのが嫌だった。

 しかし、周りの友達の押しで僕は告白することになる。
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