オソロイ
『おい塚原、清水のことを知ってるか』
塚原が朝、出勤した途端、上司の中山が飛んできた。
『清水ですか…?いえ、何かあったんですか?』
『死んだぞ』
『え?』
『家に火が付いたのだ。カフェーの少女も一緒に』
一瞬、昨日の洋子の顔が頭をよぎった。
『二人とも…焼け死んだのですか』
『否、二人ではない。三人とも変わり死にだ』
『三人…』
『清水は玄関先でめった刺しにされていた。カフェーの少女は二人居てな、居間で抱き合うように死んでいた』
塚原は黙り込んでしまった。
『死んだカフェーの少女同士は、恋人同士だったようだ』
『恋…人…』
昨日の夜の小夜の眼差しがふと思い出された。
『全く恐ろしいな』
怖い怖いと言うと、中山は机へと戻っていった。

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