澄んだ瞳に


3時間ほど、カラオケでカロリーを消費して、時計を見ると、5時になっていた。


「そろそろ帰る?明日から沙希だって強化合宿があるでしょ?理世もバイトでバリバリ稼ぐんでしょ?」


智香が、明日の二人の予定があることを気遣って、言った。



「そうだね。今日はこれで解散にしよっか……」


沙希は、後の3人に確認するように、言った。



「じゃ、ここでお別れだね。また遊ぼう。夏休み長いし……」



沙希と理世は、私と智香に、バイバイ!と手を振り、一緒に帰って行った




私と智香
沙希と理世は、違う路線の電車で、全くの反対方向に家があるので、4人で遊ぶ時は、毎回このパターンの別れ方になる。






私と智香は、駅へと向かって歩いた……





5分ぐらい歩いた時だった


「ねぇ、その制服って、清南高校でしょ?」


前から歩いてきた男に、いきなり尋ねられた。



「『……………。』」



「……無視しないでよ。」


「……行こっ!澪!」



智香は、私の手を掴み、引っ張ろうとした時、行く手を阻まれてしまった。



「……ねぇ?何シカトしてんの?聞こえてんだろ?」


さっきとは違う、殺気だった声で、私たちを、睨み付けるように言った。



自分たちが置かれている状況を素早く察知した智香は


「そうですけど……?」



その一言だったが、それがどうかした?とでもいうような口調だった。



「やっぱり?俺、その制服、可愛いっから好きなんだよね〜。って、いうことで、これから俺たちと遊ばねぇ?」



………俺たち?



声を掛けてきた時は、一人だったのに、いつの間にか三人が合流して、四人になっていた。




……ヤバイっ!!






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