澄んだ瞳に


この人たちに着いて行ってはいけないと、瞬時に察した。



「私たち、家に帰らないといけないんで……」


きっと、相手には却下されるだろうと思っていたが、この場を脱したい一心で、智香が言ったのが、伝わってきた。



「……へぇ〜そうなの?じゃ、俺たちが家まで送ってってやるよ。車あるし……」


そう言いながら、最初に声をかけてきた男が、腕を回し、私の右肩をギュッと掴んだ。



「キャッ。」


思わず、声が出てしまった


ふと、智香の方に目をやると、智香も別の男に、ガッシリと肩を掴まれていた



「離してください!」


と、言ったところで、離してもらえる状況じゃなかった。



「……やめてください。」


私は不安な気持ちが声に出たが、それはあまりにもか細い声で、相手の耳には届いてないだろうと思った。


嫌がる私たちを、無理矢理連れて行こうとする男たち


「離してくださいっ!!人を呼びますよっ!」


智香は、力強く言った。



がっちりと腕を回されているため、あまり体を横に向けれなかったが、目だけで回りを見渡した。



そばには、たくさんの人が歩いて通り過ぎる。
その人たちは、私たちを見ている。
でも、誰一人として助けてくれる様子はなく、見て見ぬふり状態だった。



「誰も、助けに来ねぇけど……?」


フッ……

と、鼻で笑い、意地悪そうに、男が言った。



男たちに掴まれたまま、連れて行かれそうになった、その時だった……





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