澄んだ瞳に



――花火大会当日


朝、淳から電話があって、4時に、迎えに来てくれることになっていた。




午後3時


智香が、家に来た。



毎年、花火大会には、私も智香も、浴衣を来て、見に行った。


ママが、着付けをしてくれていた。



今年も浴衣を来て行く。



私も、智香も、ママに着付けてもらい、私は、髪の毛を結った。



智香は、いつもショートカットにしていて、毎年、私の結った髪型を見て、来年こそは、私も結うよ!と
言っているが、未だに実現していない。



お兄ちゃんは、私たちの浴衣姿を見て、


「馬子にも衣装だな。」

と、憎らしいことを言う。


そして、私の耳元で、


「あいつ、鼻血出すぜ!」

と、言って、また私をからかうのだった。





インターホンが鳴った。


私が、玄関のドアを開けると、淳は私を見るなり、目を丸くして、固まった。




お兄ちゃんは、

「お前、鼻血出てんぞ!」

と言って、淳をからかった。



淳は、慌てて、出てもいない鼻血を確かめると、お兄ちゃんに、笑われていたのだった。



淳は、お兄ちゃんに、

「覚えてろよ!」


と、捨て台詞を吐くと、運転席に乗り込み、私たち3人が車に乗り、ドアを閉めると、車を発進させた。






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