澄んだ瞳に
「離してやれよ!!その子たち、嫌がってるんじゃねぇ……」
真後ろから、声がした。
「……はぁ?」
私の肩を掴んでいた男が振り返りざまに言った。
「聞こえなかったか?
離してやれよ!と言ったんだが…」
「何言ってんだ?お前!」
「俺の言ってる意味わかんねぇの?」
小馬鹿にした言い方だった
「…何っ?っつうか、お前さっきから誰に口聞いてんだぁ?あ〜?」
ヤバイよ……
この人、物凄く怒ってるよ
「……はぁ?誰にって……?てめぇだよっ!お・ま・え。わかった〜?」
相手を挑発する言い方…
ますます、怒っちゃうよ、この人…
助けてくれようとして、声をかけてくれるのは、嬉しいけど、四人相手に……?
どうするの? きっとやられちゃうよ……あの人…。
私は心の中で言った。
「おとなしくしてたら、調子に乗りやがってっ!!」
私の肩を掴んでいた手を離し、男が殴りかかろうとした時
「とし、やめとけっ!!」
……??
四人組の一人が言った。
「何言ってんだぁ?こけにされて、黙ってられっかよっ!!」
「いいからっ!!!」
怒鳴るように言って、としという名前の男の手を引っ張った。
「ほらっ、行くぞっ!」
男が言うと、残りの三人はその男の指示に従い、私たちから離れて、男の後ろに回った。
こけにされて怒ってた、としと呼ばれた男は、かなり不服そうだった。
そして、その男は、私たちじゃなく、私たちの後ろにいた、私たちを助けてくれたあの人に、深く一礼をした。
「行くぞっ!」
三人を引き連れて、人波に紛れて見えなくなった。