澄んだ瞳に
「……それはそうと、さっき、智香ちゃん、淳に礼を言ってなかったか…?」
と、お兄ちゃんが切り出した……
智香は、それに答えて、
「……はい、言いましたけど、何か……?」
と、言った。
すると、お兄ちゃんは、
「……って、淳と智香ちゃんは、顔見知り?」
と、言った。
忘れてた……
お兄ちゃんには、淳に助けてもらったこと、話してなかったんだ……
「……はい、以前一度お逢いしたことが……」
と、智香が答えた。
「……あっ、そうなんだ……で、どこで逢ったの?」
「……そ、それは……」
智香は、言いにくそうにしていた。
すると、淳が言った。
「……んなの、どうだっていいだろ……」
「……あーっ、それって、何か疚しいから?澪の前では、口が割けても、言えねぇってこと……?」
と、お兄ちゃんが言った。
「……んなんじゃ、ねぇよ……」
「……だったら、教えてくれたっていいじゃねぇか……」
「……なこと、お前にいちいち言ってどうなる……」
「……どうなるって……」
「だろ……」
「あ〜……でもよ、気になるじゃねぇか……澪だって気にならねぇか?」
と、お兄ちゃんが、私に振ってきた……
「……えっ…?」
聞いていなかったわけじゃなかったけど、急に振られて、なんて答えたらいいのかわからなかった。それに私も、その場にいたのだったから……
すると、お兄ちゃんが、言った。
「……ほら、みろ……澪だって、知りたがってるじゃねぇか……」
「……私、何も言って……『……いいから…、なっ?ここまで来たら、話せよ、淳……』
お兄ちゃんは、私が言いかけた言葉を遮って、淳に言ったのだった……
すると、淳は渋々ではあったが、お兄ちゃんに話出したのだった……