澄んだ瞳に



部屋の証明が落とされた。



ド―ン!
ド―ン!!

真っ暗な、空が一瞬にして明るくなった。

対岸から花火が上がった。


私と智香は、窓に近寄り張り付くように見る。


「わ〜〜、綺麗〜。」


「ほんと〜!!」


智香と私は、はしゃぐように言った。



「こんなに間近で、見るの初めて……。」


あまりの綺麗さと感激で、目が潤む。



次から次へと、上がっては消え、煙が霞む。



淳とお兄ちゃんは、ソファーに座って、ワインを飲みながら、見ている。




私は、後ろを振り向き

「凄く、綺麗だね。」

と、淳とお兄ちゃんに言った。


すると、淳がソファーから立ち上がり、私の横に来て、すっと肩を抱き寄せた。

「澪の方が、綺麗だ。」
と言って、より一層、淳の方に抱き寄せられた。



「お兄ちゃんと智香が…」

見られてると思うと、急に恥ずかしくなる。



「あいつらなら、いないぜ。」



「……えっ?」


さっきまで、私の右横には智香がいた……


右横に目をやると、智香はいなかった。



「悠哉が、気を利かせたんだろ……。」



「帰っちゃったの?」



「隣の部屋から、見てるよ。」



淳と私、今

二人っきりなんだ……。



恥ずかしかったけど、嬉しかった。




お兄ちゃん、智香

ありがとっ………。






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