澄んだ瞳に



すでに長い列が出来ていたアトラクションの前に着くと、かなり先の方に並んでいた、智香たちが、私たちの方に、手を振った。


私は、淳と手を繋ぎ、並んでる人の横を、「すみません……」と言いながら、前に進んだ。


そして、智香たちと合流した。

智香とお兄ちゃんは、興奮状態で、話をしていて、それに淳も、加わっていた。私は、3人の話を、無理矢理、笑顔を作って、聞いていた。



そして、ついに、順番が回ってきた。



ドキドキと高鳴る心臓…

手には汗が、滲む……

私は、淳の手を、無意識にギュッと握った。

淳も、握り返してくれた。


前の席に、お兄ちゃんと智香が乗る。

その後ろに、淳が先に乗り、私の腕を持って、体を支えるように、座らせてくれた。


バーが太股のところまで、下がってきた。

私は、、ギュッと力いっぱいバーを握った。


「俺に掴まってろ!」と、淳が言ってくれたので、私は、バーから手を離し、淳の腕にしがみつくように、掴まった。



はい、それでは出発です。
と、スタッフが言うと、ゆっくりと動き出した。



ゆっくりとだが、一番高いところに向かって、動いている……


私の心臓は破裂寸前。

一層強く、淳の腕にしがみついた。



落ちる……


私は、目をギュッと瞑る。


一気に落ちた……


キャーーーッ

キャーーーーーッ

キャーーーーーーッ


カーブのところでは、自分の体を支えきれず、淳の体に、私の体重が一気にかかる。


キャーーーーーッ

キャーーーーーーッ






スピードが、遅くなった。

そして、到着……


私は、気絶寸前だった。


淳に、抱えられるようにして、降りたのだった。





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