澄んだ瞳に
少し歩くと、大通りに出た
私たちは、ただ男の人の後をトコトコ着いて行く。
男の人は、両手をスラックスのポケットに手を入れ、一言も喋らずに、ただ黙々と歩いている。
男の人が立ち止まった。
すると、そこには
黒いリムジンが止まっていた。
運転席から、一人の男性が降りて、男の人に一礼をした。
「おかえりなさいませ。」
「あ〜…。この二人を家まで送るから……」
「かしこまりました。」
男性は、後部座席のドアを開けて、私たちに乗り込むように、促した。
男の人が、何やらヒソヒソと、運転席から降りてきた男性に話している。
車の中から、二人の様子を伺っていた。
「あの人、何者?さっき絡んできた男も、逃げるように去って行ったし……。送ってやると言われて着いて来て見れば、いきなりリムジンだし……。やっぱり、ちょっと、やばかったかな…」
「今頃、そんなこと言わないでよ……」
不安が的中しないことを祈る……