澄んだ瞳に



智香は、私たちのことは、置いといてと言って、私と淳の、話題を変えた。



「澪、昨日は本当ごめんね〜。澪が死んじゃうんじゃないかと思った。」

と、私の気絶寸前になった時のことを、謝ってくれた。



私は、全く気にしていなかったし、何より、そのお陰で、淳と二人きりになれたことに感謝をしているぐらいだった。



「いいよ、もう……。」



「矢崎さん、今にも泣きそうな顔してたね……。」


「そうだったんだ……。」


淳の方が心臓止まるかと思ったって、言ってたもんね………



でも、淳の泣きそうになった顔を、一度でいいから、見てみたいものだ………。


「でも、羨ましかったな〜……澪が……。」



「………どうして?」



「矢崎さんに、愛されてるって、犇々と伝わってきたから……。」



「うん。私も感じたよ。」


「言ってくれますね〜?遠慮ってもんは、ないのですか〜?」



「だって、ほんとに、そう思うも〜ん………。」



「『アハハハ―――』」


そう言うと、二人で、笑った。



そして、智香は


「私も悠哉さんに、いっぱ〜い、愛してもらえるように、頑張ろっと………。」
と、言った。



「頑張らなくても、いいって……、智香………。」


「…………………。」


智香の、目は、涙が滲んでいる。



「私が、言うのも、何だけど、お兄ちゃんは……、」

と、言いかけて、昨夜のことを思い出した私は、言葉に詰まった。



すると、智香は、言った。

「わかってるよ、澪…。」


「…………………。」



私も、涙が出そうになっていた。



「私が、好きになった人だもん………。」



「…………うん。」


と、だけ返事した。




そして、目と目が合った私たち………



「『……アハハハ――』」

また、笑った。



「私たち、幸せだね……」


「………うん。」





< 157 / 277 >

この作品をシェア

pagetop