澄んだ瞳に
智香は、私たちのことは、置いといてと言って、私と淳の、話題を変えた。
「澪、昨日は本当ごめんね〜。澪が死んじゃうんじゃないかと思った。」
と、私の気絶寸前になった時のことを、謝ってくれた。
私は、全く気にしていなかったし、何より、そのお陰で、淳と二人きりになれたことに感謝をしているぐらいだった。
「いいよ、もう……。」
「矢崎さん、今にも泣きそうな顔してたね……。」
「そうだったんだ……。」
淳の方が心臓止まるかと思ったって、言ってたもんね………
でも、淳の泣きそうになった顔を、一度でいいから、見てみたいものだ………。
「でも、羨ましかったな〜……澪が……。」
「………どうして?」
「矢崎さんに、愛されてるって、犇々と伝わってきたから……。」
「うん。私も感じたよ。」
「言ってくれますね〜?遠慮ってもんは、ないのですか〜?」
「だって、ほんとに、そう思うも〜ん………。」
「『アハハハ―――』」
そう言うと、二人で、笑った。
そして、智香は
「私も悠哉さんに、いっぱ〜い、愛してもらえるように、頑張ろっと………。」
と、言った。
「頑張らなくても、いいって……、智香………。」
「…………………。」
智香の、目は、涙が滲んでいる。
「私が、言うのも、何だけど、お兄ちゃんは……、」
と、言いかけて、昨夜のことを思い出した私は、言葉に詰まった。
すると、智香は、言った。
「わかってるよ、澪…。」
「…………………。」
私も、涙が出そうになっていた。
「私が、好きになった人だもん………。」
「…………うん。」
と、だけ返事した。
そして、目と目が合った私たち………
「『……アハハハ――』」
また、笑った。
「私たち、幸せだね……」
「………うん。」