澄んだ瞳に
先を越された私
そして、その夜
いきなり、智香が、
お兄ちゃんと、二人でやって来た。
いや、お兄ちゃんは、家に帰って来た。
お兄ちゃんが、仕事の帰りに、智香の家に寄ったらしく、そのまま連れて来たのだった。
二人が揃って、リビングに入って来た。
「ただいま。」
と、お兄ちゃんは言った。
「夜分遅くに、お邪魔します。」
と、智香は言った。
「あら〜、智香ちゃん。夜に遊びに来るなんて、珍しいわね〜? 澪に用でもあったの?」
と、ママが言った。
すると、
「俺が、連れて来た。」
と、お兄ちゃんが言った。
「悠哉が?またどうしてなの?」
ママが、不思議に思って聞いたのだった。
「親父とお袋に、話がある。聞いてくれねぇか?」
と、お兄ちゃんが言った。
「なんだ話って?藪から棒に………?」
と、パパが、言った。
そして、智香をソファーに座らせると、お兄ちゃんも智香の横に座った。
ママが、キッチンから、飲み物を持って戻ってきて、一人一人の前に、置いた。
そして、ママもパパの隣に座った。