澄んだ瞳に
ドアが閉められ、また車が動き出した。
「一人、残されて不安か?」
さっきとは、まるで別人かと思うような、優しい口調で、私に問いかけた。
その問いかけに、ずっと俯いてた私は、顔をあげた。
優しい口調になった、その人の目は、さっきまでの人を見据えるような目ではなく、見つめられているような印象を受けた。
見つめられていることで、不安な気持ちは、無くなったが、今度はなぜか緊張している私……
緊張で、何も答えられず、ただ、頷くことしたできなかった。
「………。」
うん……。
「これっ……」
「えっ?」
名刺が差し出されていた。
私は恐る恐る、手を出し、名刺を受け取った。
「何か、あったら、連絡してこい。また助けてやっから…」
さっきまで、私を見つめていた、その人の目は、また窓の外へ向けられていた。
「……は、はい。」
名刺には
矢崎 淳
と、名前が書いてあって、携帯番号が記載されてるだけのシンプルなものだった