澄んだ瞳に



和やかな雰囲気で、食事が進められていると、お父さんが、口を開いた…



「澪さん…」


と、呼ばれた私は、食べるのを止め、お父さんの方に顔を向けた。


すると、お父さんは


「淳は、私の後を継いではくれているが、社長としての器はまだまだだ。私もそうだったんだが、気持ちが折れそうになることが何度もある。そんな時に、あなたのような人が、傍にいてくれるだけで、乗り切れる。無理を承知だとわかって言いますが、これから先も、ずっと淳の傍にいてやって欲しい……お願い出来るかな…?」


そう言ったお父さんは、私の目を見て、答えを待っている…



「もちろんです。私も淳さんの傍に、ずっといたいと思っています。」


と、私は言った。



お父さんは目を細めて、微笑んだ。そして、


「そう思っていただけて、私たちも幸せです。これからも淳のことを、お願いするよ…」


と、言った。



「淳、澪さんを泣かせるようなことは、しないでちょうだいね…将来、私の娘になる人なのよ…もし泣かせるようなことをすれば、ママが許しませんからね…」

と、お母さんが言った。



すると、淳が言った。



「…んなことしねぇって…澪の親父さんとお袋さんの前で、誓ったんだ。」



「そうだったな、わかっていれば、それでいい…」


と、お父さんが、淳に言った。





その後、食事を終え、私たちは、淳のお父さんたちと、お店の前で別れた。






< 206 / 277 >

この作品をシェア

pagetop