澄んだ瞳に

私の想い、そして彼の気持ち




淳のご両親と別れた私たちは、少しドライブをすることになり、昨日行った丘へと車を走らせた…



「あっ、家に電話しろよ…あんまり遅くなると、お袋さんが、心配すっから…」

と、淳が言った。


車の時計を見ると、8時半を少し回ったところだった。私は淳に言われた通り、家に電話をして、ママに遅くなることを告げると、ママは『淳君と一緒なんだから、何も心配なんかしてないわよ…好きなだけ一緒にいなさい…』と言って、電話を切った。


私は、淳がいつも家族のことを気にかけてくれていることも嬉しかったが、何よりもママが、淳を信頼し、私の『淳と一時も離れたくない』という気持ちを、十分に理解してくれていることが嬉しかったのだ。


私は、淳からも家族からも愛されてると思うと、涙が溢れた。



そこで、淳に、「お袋さん、何て言ってた?」なんて聞かれてしまい、すぐに答えることが出来なかった私は、泣いているのがバレてしまった…



「何、泣いてんだよ…俺、何かした?何か言った?澪を泣かせたら、俺が怒られちまうんだぜ…」


まるで、自分には身に覚えがないので、勘弁してくれよ…と言っているようだった…


だから、私は、「淳が泣かせてるの…」と言うと、淳は、「何で、俺なんだよぉ…」と、少し拗ねていた。


そんな淳を見て、私は愛しいと思えた…


ずっと淳の傍でいたい…


そして、また、私に迷いが生じた…


それは、進路のこと…



こんな気持ちを引き摺って旅行に行っても…と思って、私は思い切って、淳に今の気持ちを打ち明けようと思った……





ちょうど、丘に着いて、淳が車を止めたので、ゆっくり話が出来ると思い、淳に声をかけた………






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