澄んだ瞳に
次の日の朝、出掛ける用意をして、智香との待ち合わせ場所の駅へと向かった。
智香は、いつもと変わりなく、『おはよう!』と、私に声をかけた。
「………はよ……」
私の気持ちが、おはようと言った一言に、出ていたのだろう。
そして、それを聞き逃すような智香でもなかった。
「……澪?何かあった?」
やっぱり聞いて来た…
いつもの私なら、何もないよ。と、無理に笑顔を作って返事を返しただろう。
でも、今の私は、笑顔を作るどころか、泣きそうになるのを必死に堪えるのが精一杯だった…
そんな私の様子にも、すぐに智香に気付かれてしまう
「…澪?何かあったんだよね?私に話して楽になるんだったら、話してよ。」
智香は、優しく声をかけてくれた。
そんなに優しくされたら、私……
我慢していた涙がこぼれた……
智香は、「ここじゃ、あれだから、どこか落ち着いて話出来るとこに行こう…」
そう言った智香は、私の手をそっと掴んで、歩き出した。
落ち着いた雰囲気のある、喫茶店に入った。
一番奥のあまり人目に付かない席に座り、智香は私に何も聞かず、アイスミルクティーを2つ注文した。
アイスミルクティーが運ばれて来て、智香は、「一口飲んで、落ち着いたら、話聞かせて…」と、言ってくれた。
私は智香に言われた通り、アイスミルクティーを一口口に含んだ。
少ししょっぱい味がした。