澄んだ瞳に
「智香…質問してもいい?」
「何……?」
「智香は、お兄ちゃんと付き合ってるでしょ……その……お兄ちゃんとは……」
私が聞きにくそうにしていたので、次の言葉は智香から言ってくれた。
「キスしたよ……」
「……キス?」
私が知りたいのは、その次だった。でも、実兄のことを聞くのも、何となく変な気持ちになって、聞けずにいた。
「その後のことを言ってるの?」
智香は、すぐに察知して聞いてきたので、私は、うん。と、首を縦に振った。
すると、智香は言った。
「ないよ…って言うか、未遂に終わったよ…」
「……未遂?」
「うん……胸は触られたけど、そこまでってこと」
「…そうなんだ……でも、お兄ちゃんだって、そのつもりは、あったんだよね……?」
「そうだと思うよ。でも、悠哉さんは、『ごめん…』って言って、その後は何もなかったの……」
『ごめん……』
あの時、淳も言った…
「その後、お兄ちゃんは何か言ってた?」
私は、お兄ちゃんが、どんな気持ちで、それを言ったのかが、気になった。
「何も……」
「何も、言わなかったの?じゃ、智香は理由を聞いた?」
「聞かないよ……」
智香は、そう言った。
智香は気にならないのかと思った。
でも、智香からは、意外だと思ったことが、聞かされた……