澄んだ瞳に
それから、私は淳の方を見ないようにした…
淳に何言われるかわかんないし、それにまた輪をかけるように、お兄ちゃんが、突っ込んでくる……
ん? そう言えば、お兄ちゃん……?
私が、後ろに体の向きを変えようとすると、淳がそれを止めた……
「そっとしといてやれ…」
そう言った淳は、ルームミラーで、後ろをチラッと見ていた……
淳だけ、ズルい!!
私も見たい……
「お前が見たら、卒倒するぜ…」
と、淳は声を潜めて言った
それにつられて私までもが声を潜めて聞いた……
「どういうこと……?」
「じゃ、ソッと見てみろよ…」
なんか、覗きをやってるような言い方だった…
私は、シートに身を隠すようにして、隙間から、ソッと後ろを見た…
ほんと覗きをやってるようだった……
え!!
何あれ!!
2列目シートに座っていたはずの二人は、いつの間にか最後尾シートに席を移し、二人でベッタリと抱き合うように寝ていたのだった
そういえば、お兄ちゃんはこの旅行のために、連日残業だと言って、帰りが遅いため、車通勤して、夜中に帰って来ていた。
おまけに、休日返上で仕事に行ってたし、寝不足続きだった。
私は、体を元に戻すと、淳が言った…
「なっ…?羨ましがってねぇか……?」
「……別に……」
と、言って、私は窓の外に目を向けた。
すると、淳は、私の左手をそっと握って来た。
「今は、これで我慢しろ…後でゆっくり同じようなことしてやっから……」
「……………。」
私は考えないようにしていたが、淳が変なことを言ったので、つい連載反応で、思い出してしまった…
淳のバカ!!
私は、とりあえず平然を装った……