澄んだ瞳に



エレベーターに乗り、最上階へ…


エレベーターを降り、廊下を突き進む……



お兄ちゃんが部屋の前で足を止めた。


「智香ちゃん、俺たちの部屋はここ…」

と、言って、カードキーでドアを開けて、智香を先に部屋の中に入れ、お兄ちゃんが後に続く…


「じゃ、後でな…」

と、台詞を残し、ドアが閉まった。



私は、キョトンとしていた…

私と淳は…?

花火大会の時は、一緒の部屋だったのに…



すると、淳が私の手を引っ張り、歩き出した。

「俺たちは、隣の部屋…」

「一緒じゃないの…?」

と、私は聞いた


淳は、黙ったままだった。

ドアの前に立つと、カードキーでドアを開け、私は背中をポンと押されたので、先に中に入る形になった。

ゆっくりとドアが閉まった

ドアが閉まると、私は後ろを振り向き、もう一度聞いた…


「……淳…どうして…?」

「俺と二人で、ゆっくりのんびりするんだろ…」

と、言った淳は、ニッコリ微笑んだ。



今回お兄ちゃんたちも一緒に行くことにはなったが、お兄ちゃんたちが一緒じゃなかったら、こういうことになっていたんだと、私は思った。



そう思うと、少し緊張してきた……



私は、鼻からゆっくり空気を吸い込み、そして吐き出して、深呼吸をした。



ちょっと落ち着いた。




オーシャンビューの部屋からは、延々と続く海が見えた……




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