澄んだ瞳に



「疲れたんじゃねぇか?こっちに来て座れよ…」と、部屋の真ん中に置かれている、大きなソファーセットに座っていた、淳が私に言った。


「…あ…うん…でも、先にカバンの中身を仕舞いたいんだけど、どこに仕舞ったらいい?」


今、私のいる部屋には、ソファーセットとテーブルとテレビとボードしか置いてなかった。



「あ〜…右側の扉の奥にクローゼットがあるから…それと、左側の扉がバスルームになってっから…」と、淳が教えてくれたので、早速、淳と私の鞄を持って、右側の扉に向かい、ドアを開けて中に入った…


私は、持っていた鞄を落としてしまった……


ダ、ダブルベッド……?


体が固まってしまった…



『澪〜…クローゼットわかるか〜?』


と、淳が隣の部屋から、私に聞いてる……


あっ、返事だ!


「あっ…うん…」

自分では、淳に返事をしたつもりだったが、呟く程度だったのだろう……


「澪……」

間近で淳の声がしたので、振り向くと、私のすぐ後ろに淳が立っていた。


「あっ…すぐに仕舞うね…」

と、その場を取り繕うように言った。


すると、淳が言った。


「わりぃ……ここしか空いてなくて…交渉したけど、無理だった……あっ、俺はソファーを使うから、澪はこっちで寝ろよ。」



淳は、私に気を遣って言ったのだと、すぐにわかった

でも、そんなの虚しい…

涙が、じわじわと湧いてきた。


「………………」



「………どした?」



「…………………」



「澪……?」



「………一緒には…寝てくれないんだ……」


本音がポロリと出てしまった……



「そんなに悲しそうに言うなって……じゃ、お前が寝るまでは、傍に着いててやっから……」



まただ。

また、淳はわかって言っている……


私、なんて返事をしたらいい?


素直にわかったって言えば、淳は納得してくれるの?


「み〜お…?」



返事は?と、聞いてるような呼び方で、淳は私の名前を呼んだ………





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