澄んだ瞳に
澪が清南高校に入学した年の入学式に、俺は理事長代理として出席し、祝辞を述べ、責務を果たした。
式も滞りなく終わり、学校長に引率され、控え室である校長室へ帰ろうとした時だった。
1年C組
奥園 澪さ〜ん
整列している生徒たちの、先頭に立っていた担任が呼んだ。
………奥園澪?
悠哉の妹?
俺は、まだ小学生だった澪が、どんな高校生になったのかを見たくて、澪を呼んだ担任の方へ、目をやった。
すると、澪であろう女子生徒が、担任の元へやってきた。
「先生? 奥園澪ですが…。」
澪ちゃん?………。
小学生の時の面影はなく、少しあどけなさの残る、女性になっていた。
俺は、女子高生になった澪を、一目見て、恋をしてしまった。
一目惚れってやつ?
俺らしくもない………
あり得ない。
俺に告ってくる奴は、たくさんいたが、俺から、好きになることは、なかった。