澄んだ瞳に


しばらくすると、私も起き上がれるようになり、鞄の中身を出して、クローゼットに仕舞った。


隣の部屋に行くと、淳はソファーに座り、タバコを吹かしていた。


テーブルの上には、淳が頼んでくれたであろう、軽食が置いてあった。そして、私の大好きなアイスミルクティーも一緒に……


「それ食ったら、泳ぎに行くから……悠哉たちも部屋に戻ってるみてぇだし、声かけるって言ってある…」

と、淳が言った。


「……海?」


私は、小学生の頃に、大波にのまれた事があり、それ以来、苦手だった…


「いや…プール…」


内心ホッとした。



食べ終わり、水着を用意して、部屋を出た。


隣のお兄ちゃんの部屋をノックする。お兄ちゃんと智香が出てきた。


お兄ちゃんは、私の顔を見て、様子を伺っている。
智香も、お兄ちゃんの隣で、心配そうな顔をしていた

「澪…お前さ、泳いだりしてもいいの?」


「泳いだらいけない理由でもあるの?」


と、私がお兄ちゃんに言うと、淳が、私の肩を抱きよせて言った。


「さっき、少し眠ったから、よくなったんだよな…澪?」


「私、寝てなんかないよ…」


淳は一体何をおかしいことを言ってるのだろうと思った。


すると、淳は、私の顔を覗き込んで言った。


「お前、寝たのも忘れるくらい具合悪かったのか?」

そして、淳は、口パクで私にそれを告げた…

『バカか…バレるぞ!』


言い終わると、淳は元の体制に戻った。


あっ……と思った時には、遅かった……



お兄ちゃんが感付いた!


「そういうことね……」



淳と私は、非情にばつが悪かった……




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