澄んだ瞳に
「なんで、あんなこと言ったの…?」
と、私は智香に聞いた。
すると、智香は、ジッと淳たちの方に目をやったまま言った。
「……だって…ムカつくじゃん…」
「ムカつくって……?」
「澪は、ムカつかない?他の女と楽しそうに遊んでるのを見ても……」
私は、ピン!と来なかった
だから、何も答えられなかった。すると、智香が言った。
「ジェラシーだよ……」
ジェラシー……?
智香は、お兄ちゃんにヤキモチを焼いたんだ。
智香は、見てられないと言って、膝を抱えると、顔を埋めた。
私は、ボンヤリと淳たちを見ていた……
あっ!!
女の人が……
淳に抱き付いてる!!
顔を淳の胸にベッタリくっ付けて……
私は、その時、初めて、智香の言った言葉の意味がわかった。
私は、ジェラシーを感じた
急に涙が溢れてきた。
そして、智香に言った。
「私…先に部屋に戻るね」
すると、智香は、顔を上げた。
「どうしたの……澪」
と、智香が言ったのと同時に、私は立ち上がり、走り出した。
「澪、待って…」
と、言って、智香が私の後を追い掛けて来た。
「澪……待ってって……澪…みーお…」
私は、止まらなかった…
走り出してる足も、涙も…
更衣室へと続くドアを開けて中に入ると、そこで足が止まった。
智香が後を続くように、中に入った。
二人とも息を切らして、肩で息をした。
少し呼吸が整ったのか、智香が言った。
「どうしたの…急に…?」
私は、智香に泣きついた。
「智香の言ってた意味がわかった……女の人が…淳に…抱き付いてた……私…」
私は、涙が止まらなかった
智香は、「わかるよ…澪の気持ち…」と、言って、私の頭を何度も撫でた。
「でもさ、澪はまだ気付いてないのかもしれない…いつだって、他の女の人からは、見られてるんだよ…矢崎さんも、悠哉さんも…」
そして、智香の体がピクッと動いた
私は、顔を上げて、智香を見た……すると智香も泣いていた。
「智香……」
「澪……」
二人で抱き合って泣いた。