澄んだ瞳に
朝、淳の声で目が覚めた。
「澪、起きろっ!」
「……おは…よ…淳…」
「…ったく、結婚したら、朝が思いやられるぜ…」
「…淳の奥さんに…なったら…ちゃんとするもん…」
「期待しねぇで、待っててやる……そんなことより、早く起きてこいよ…」
と、言って、淳は隣の部屋に行った。
夜中の淳の様子とは、うってかわり、いつもの淳だったので、安心した。
寝起きで、頭がスッキリしない私は、とりあえず起きないと。と思い、ベッドから起き上がった。
………ない
何も着てない……
ギャーーーーーーーーッ
私のただ事ではない悲鳴を聞き付けて、淳が血相をかいて、ベッドルームに飛び込んで来たのは、言うまでもない………
私は、一旦バスローブを羽織り、クローゼットの前まで行き、服を着ると、バスルームへ……
「…ったく…朝っぱらから…普通、わかるだろ?」
と、淳に言われてしまった
私が、真っ赤な顔で、何も言えないでいると、淳が、言った。
「そんな、お前がムカつくほど…可愛いから…好き」
淳は、ソファーに座っていて、私に背中を向けていたので、どんな表情だったかは、わからないが、照れてるのだけは、わかった。
何故なら、淳は独り言を言ったつもりだったようだったが、聞こえてしまった。
『そういうこと、俺にいちいち言わせるかな…』
部屋で、朝食を取る。
淳との結婚生活が始まれば、毎朝のことになる。私はその時の光景を思い浮かべながら、淳を見ていた。
コーヒーはブラック
トーストはパンの耳の角を一口だけ残す
目玉焼きは、白身を先に食べて、最後に半熟の黄身が潰れないように、一口で食べる
サラダは人参を残す
ヨーグルトには、ブルーベリーソースをかけて食べる
私は、頭の中にメモった。