澄んだ瞳に


朝、淳の声で目が覚めた。
「澪、起きろっ!」


「……おは…よ…淳…」


「…ったく、結婚したら、朝が思いやられるぜ…」


「…淳の奥さんに…なったら…ちゃんとするもん…」

「期待しねぇで、待っててやる……そんなことより、早く起きてこいよ…」

と、言って、淳は隣の部屋に行った。


夜中の淳の様子とは、うってかわり、いつもの淳だったので、安心した。


寝起きで、頭がスッキリしない私は、とりあえず起きないと。と思い、ベッドから起き上がった。


………ない

何も着てない……


ギャーーーーーーーーッ


私のただ事ではない悲鳴を聞き付けて、淳が血相をかいて、ベッドルームに飛び込んで来たのは、言うまでもない………



私は、一旦バスローブを羽織り、クローゼットの前まで行き、服を着ると、バスルームへ……


「…ったく…朝っぱらから…普通、わかるだろ?」

と、淳に言われてしまった

私が、真っ赤な顔で、何も言えないでいると、淳が、言った。


「そんな、お前がムカつくほど…可愛いから…好き」

淳は、ソファーに座っていて、私に背中を向けていたので、どんな表情だったかは、わからないが、照れてるのだけは、わかった。


何故なら、淳は独り言を言ったつもりだったようだったが、聞こえてしまった。

『そういうこと、俺にいちいち言わせるかな…』



部屋で、朝食を取る。

淳との結婚生活が始まれば、毎朝のことになる。私はその時の光景を思い浮かべながら、淳を見ていた。


コーヒーはブラック

トーストはパンの耳の角を一口だけ残す

目玉焼きは、白身を先に食べて、最後に半熟の黄身が潰れないように、一口で食べる

サラダは人参を残す

ヨーグルトには、ブルーベリーソースをかけて食べる


私は、頭の中にメモった。


< 249 / 277 >

この作品をシェア

pagetop