澄んだ瞳に
入学式で、澪を見かけた時から、2年3ヶ月の月日が経っていた。
あの時、俺は澪に一目惚れしてしまった。
だが、澪に俺の気持ちを伝える機会がなく、今に至ってしまっている。
澪の高校の、体育祭や文化祭には、理事長も来賓として、招待される。
親父が忙しく、俺が理事長代理で、出席する機会があった。
母校の行事に、懐かしさを覚えると同時に、俺は澪の姿を探しては、遠くからみていた。
理事長代理と一生徒としての関係しかない。
俺の一方通行だ。
後は…と言えば、悠哉と飲み行った時などに、悠哉から、さりげなく澪の様子を聞き出したりするぐらいしか出来なかった。
澪に逢いたい。
何度、思ったことだろう。
思い続けていた澪が、今、俺の前にいる。
俺は、嬉しかったが、澪は俺のことなんか、きっと知らないだろう。
何も知らない澪に、その感情を現せないでいる。
しかし、俺は、澪をこれ以上、危険なめに晒すことができない、このまま友達と二人で帰すわけにもいかずに、思わず言ってしまった
『家まで、送ってやるよ!』