澄んだ瞳に


朝食を終えると、淳は窓辺に立ち、タバコを吹かしながら、海を見ていた。そして、私の方に向きを変えて淳が言った。


「なぁ、澪……今日、悠哉と波に乗りたいんだが、構わないか?」


「うん。私も、一度見てみたい…」


「わりぃな……昼からは、一緒に過ごそうな。澪は後から、智香ちゃんと来ればいいから…」



そう言い残し、淳は、海に行く用意をして、お兄ちゃんを誘い、先に出掛けた。



私は、部屋の電話で智香の部屋に電話をした。
智香にすぐ出れるかを確認すると『OK!!』と返事があったので、カードキーと携帯だけを持って、智香を誘いに行った。
智香と互いに挨拶を交わすと、エレベーターで1階まで下り、ロビーを抜け、玄関まで来た。


昨日の女二人組が、海の方へ走って行くのが見えた。
それには、智香も気付いたようで、二人で目を合わすと、私たちも、後を追っかけるように、海へ向かった。


私たちが、砂浜に着くと、淳たちの姿が、すぐに目に入った。
二人は既に波を捕らえていた。

波打ち際では、あの二人組が、キャーキャーと言って騒いでいる。

私たちは、近寄らずに、様子を伺っていた…




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