澄んだ瞳に
緊急事態!!
砂浜に上がると、そこには、お兄ちゃんしかいなかった。
「わりぃな…智香ちゃんが、急に熱出しちまって…車のキー貸してくんねぇかな?」と、言った。
「えっ?智香、ひどいの?」と、私は心配になって、聞いた。
さっきまでは、元気だったのに…
「大したことはないと思うけど、一応念のため、病院に連れて行くわ…」
「じゃ、すぐに支度して、車出すよ…」と、淳が言うと、お兄ちゃんは、遠慮して言った。
「いいって…せっかくなんだから、お前らは、ゆっくりしてろって…」
「お前は、智香ちゃんの横に付いててやれって…旅先で病気になるだけで、不安ってもんだろ?手ぐらい握っててやれよ。」
「わりぃな…でも、助かるよ…澪も悪いな…」と、お兄ちゃんは、私たちに頭を下げた。
「何言ってんだ?早く戻って、用意しねぇとな。」と、淳が言って、私たち3人は、足早にホテルに戻った
二人とも簡単にシャワーを済ませると、私と淳は、お兄ちゃんたちの部屋をノックした…
智香は、お兄ちゃんに背負われて、部屋から出てきた
智香は、少しグッタリしている様子だった。
「智香…」私は、智香に声をかけると、智香は、「ごめんね…澪」と言って謝った。
「何言ってるの…そんなの気にしなくていいから…」
私が、智香に言うと、智香はそっと目を閉じた。
車に乗ると、お兄ちゃんがホテルから聞いた、一番近くの病院の名前を告げると、淳がそれをカーナビに設定し、急いで病気に向かった。
私は、助手席から後ろを振り返ると、お兄ちゃんが、智香を抱き寄せ、手をしっかりと握っていた。
智香は、眠っていた。
市街地にある、総合病院だった。病院の玄関前で、淳だけを残し、私たちは車から降りた。淳は車を止めに行き、私は受付で事情を話すと、内科に行くように言われ、お兄ちゃんたちと内科へ向かった。
お兄ちゃんは、智香に付き添って、一緒に診察室に入った。私は、内科の前のベンチに座って、二人を待った。
車を止めに行った淳も来て、私の隣に座った。