澄んだ瞳に
「智香、大丈夫かな?」と、私が言うと、淳が私の手を握り、「大丈夫だって」と、言ってくれた。
「悠哉は、すげぇな…俺だったら、絶対取り乱してるよ…」と、淳が言ったので、私は、淳に顔を向けて、「どういうこと?」って、聞いた。
すると、淳が言った。
「俺は、澪に何かあったら、冷静でいられねぇ…」
「この間の遊園地の時みたいに?」
あの時、淳は私に怒った、して、心臓が止まる思いだったと言ったのだ。
「あ〜…そだな…俺が、しっかりしなきゃならねぇのにな…」と、言って、淳は照れ臭そうに笑った。
お兄ちゃんが一人診察室から出てきた。
私が智香の様子を聞くと、軽い熱中症で、少し脱水症状を起こしているので、このまま病院で点滴を受けて様子を観ることになったので、お兄ちゃんも残ることになった。
私たちは、「何かあったら、すぐに連絡してね。」と、お兄ちゃんに言い残すと、二人で病院を後にした。
結局、その日、智香は一晩入院することになり、夕食は、淳と二人になった。
レストランで、あの女二人組に出逢った。淳に釘を刺されたせいか、私たちには見向きもしなかった。
でも、相変わらず、香水の匂いだけは、鼻を刺した。
「飯が不味くなるぜ」と淳は嫌味を言っていた。
私たちは、夕食を済ませると、そのまま海へ散歩に出掛けた。