澄んだ瞳に


私は、それを口にしてはいけないことだと思いつつ、体をお越し、淳の顔を見て言ってしまった…

「帰りたくない…帰ったら、淳とは別々の暮らしになってしまう…そんなの耐えられない…」


「………………」

淳は何も答えてくれない。
きっと、返事に困っているのだと思った。

だって、かなり酷いわがままを言ってるよね…私…

私は、淳に謝ろうと思った
「淳、ごめんね…私が言ったこと、気にしないで。」

「気にするさ…」

やっぱり…淳を困らせること言ったんだね…

「ほんとに、ごめんね。」
「いや…澪が謝らなくてもいい…俺が、そう思うようなことをさせちまってるから…」

「ううん…淳は何も悪くないよ…私が勝手に思ってるだけだから…」

「違うんだ…」

「……えっ?」

「俺も、そう思ってる…昼間はお互いの生活があるにせよ、朝と夜は、お前に、俺の傍にいて欲しいと思ってる……」

「……淳…?」

「帰ったら、ダメ元で、親父さんたちに頼んでみるか……」

「…えっ、何を?」

「一緒に暮らしていいかってこと…」

そ、それって、もしかして淳と、同棲するってこと?
私は、目を丸くして、口を開けたままだった…

「そんなに驚かなくても…でも、そういうことになるだろ?」

「仮に、パパたちが許してくれたとして、そんなことが、ほんとに出来るの?」
「わかんねぇ…でも、正式に婚約してしまえば、出来るんじゃねぇ?」

「こ、こ、婚約!?」

「あ〜…いずれ結婚しますって、約束するわけだから、同棲したからって、何もやましくねぇだろ?」

「そ、そうなんだ…」

「あ〜…でも、今度ばかりは、親父さんに殴られるかもな…ハハハッ…」

淳はハハハッと笑ったけど、殴られるかもしれないのに、笑えるの?

……って、どうして淳がパパに殴られるわけ?

私は、首を横に傾げた…



< 260 / 277 >

この作品をシェア

pagetop