澄んだ瞳に
澪の幼なじみが、俺に礼を言って、降りようとしている後を、澪も着いて降りようとしている。
おい!? おい!?
お前は一体、どこに行くってんだ?
『お前の家、ここじゃねぇだろ?』
俺は、当たり前のことを言った。
俺と二人きりになるのが、怖いか? 澪……。
俺だって、お前と二人きりになるのが、こぇんだよ!
澪の幼なじみが降り際に言った。
『澪、家に着いたら、すぐに電話してよね。』
だから、何もしねぇっつうの!
あまりの緊張で、動揺を隠すのが精一杯で、澪に何かしようなんて、考えもつかねぇよ。
おまけに、心にもないことを口走っている。
ガキだなんて、思ってなんかねぇよ、澪
俺は、お前を一人の女としてしか見てねぇよ。
澪の抱いている、不安と緊張が伝わってくる。その気持ちがわかる。
なぜなら、別の意味でだが、俺も澪の気持ちと、一緒だかんよ〜。
俺は、澪に名刺を渡した。
これで、澪との間に、何かきっかけになれば、そのきっかけで、澪に近付くことが出来ればと思い………
俺が渡した名刺を、じっと見ている澪
矢崎 淳
気付いてくれ! 澪………
俺は、あの頃から、ずっとお前だけを見てきたんだからよ。
…………澪…………