澄んだ瞳に
私は、名刺を見ながら、話した。
「……もしもし?名前と携帯番号が書いてあるだけなの。」
「………で、名前は?」
「矢崎 淳…」
「………。で、澪には心当たりないの……?」
「全くない……。」
「そっか〜。でも、矢崎って名前、どっかで聞いたことがあるような……。」
「智香、知ってるの?」
「ちょっと待って。今考えてるから……。」
「………………。」
「あ〜〜 やっぱわかんないや〜……」
「澪さ〜、携帯に電話してみれば……?」
「何で……?」
「今日のお礼を、とりあえず言って、その矢崎淳ってやつが何者かを探るに決まってんじゃん。」
「嫌だよ〜。そんなの。それに、そんなの聞いて、どうするの?」
「それも、そうだよね?」
アハハハと、智香が軽く笑った
「そろそろご飯食べるよ。じゃ、またメールするね」
「うん。私もご飯食べるね。またね〜」
電話を切った。
でも、矢崎淳という名前が頭から離れないでいた。
そして、あの人に見つめられるように、私のことを見ていた瞳も……
なんか、気になってしまっていた……
「澪〜?早くご飯食べなさ〜い。」
「は〜い。着替え済んだらすぐに下りるよ〜。」
ママが呼んだので、急いで着替えを済ませて、下に下りた。