澄んだ瞳に
私は、智香の真横に立った……
「ねぇ、ビルの入り口、見て……?」
矢崎コーポレーション
50階はあるかと思う、大きく高くそびえ立つビルのエントランスに、その名前が目立っていた……
「矢崎コーポレーション……?」
矢崎 淳……。
矢崎コーポレーションと、
矢崎 淳
何か関係があるのは、私にでもわかった。
今しがた、このビルから出て来たのだし……
「ここの社長さんかな?」
私は、何となく、そう思ったのだった。
「何言ってんの?社長って普通、ハゲ頭のオヤジなんじゃないの?第一あの若さで、社長はあり得ないよ〜……。」
社長=ハゲ頭のオヤジ
社長=年寄り
物凄い、思い込みと偏見だな……
私は思わず、笑ってしまった。
「アハハ〜 智香〜、それって、凄い思い込みじゃない……?」
「え〜。そっかな……?」
智香は、首を傾げる。